麺一筋さん


今回は社長にレポートをかいてもらったの。
たまには働かせなくちゃ。


●発端
 事の起こりは、試合の1日前に遡る。
・・・というより、1日前までしか遡れない。
試合前日、ほしのと私は飲みの席にいた。
いつもより余計に飲んで、酔い加減のほしの。
その席で、「麺一筋亀戸店でラーメンチャレンジをやっている、
5人前を30分、賞金5000円」との情報を入手。
酔った勢いで、「早速明日やってきます!!」
と宣言してしまったほしの。
その後、ワインクーラーの水を飲み干して見せるなど、
ありがたくもない芸を披露して、ほしの、試合当日の午前3時過ぎ帰宅。

●不穏
 試合当日のほしのは、睡眠不足、アルコールが残っているのも自覚でき、
決してよいとはいえない状態。
急な連絡が入り、その日からの予定をかなり変更せざるを得ない、
というアクシデントがあり、それにかこつけて延期することも考えたが・・・。
きのう席上で「結果、明日連絡しまーす!!」なんて言ってしまったし、
面子にかけても延期するわけには・・・・。
ということで、亀戸まで自転車移動。
やっと見つけた店の前にあったサンプルは・・・・。

すり鉢。

麺一で見て以来のすり鉢。
ほしのと2人で顔を見合わせて、「ハイ、ムリですね」
しかし、お互いに「撤収〜〜」とは言い出せない。
形として、やるだけやって負けてきますか、なマインドに。
「ちょっと待って」と言って、店前の商店街を軽く走り始めるほしの。
「走ったら、おなかすくかと思って・・・」
商店街の走行距離:約80m。まともな精神状態ではなかった。
店に入って、あきらめて注文。
どうやら、1500円の食券で注文、勝てば賞金5000円進呈、
というシステムで、実質賞金3500円。
しかしほしのは、注文後、待ち時間中に、
「ここはいずれ再挑戦しますよ」
と、今日の成功についてはあきらめムード。

●期待
 しかし、一口にすり鉢といっても、口切一杯と、8分目では、かなり量の差がある。
実際出てきたものを見ると・・・。
すり鉢いっぱいというほどではない!!
麺一を見ていることと、店前のサンプルでかなりビビっていたのとで、
目の前のラーメンが相対的にラクにみえる・・・!!
いけるかも!?という感覚も、少しだけ頭をもたげてきた。
開始の合図とともに、ついにスタート。
・・・・。箸を持つ手が震えている。
これだけ緊張しているほしのを見るのは、いつ以来だろう・・・?
しかし、ペースは悪くない。開始2分過ぎ、ほしのは「何分?」と尋ねる。
いつもより聞いてくる時間が早い。実際より、時間が早くたっていると感じているからだろう。
3分ぐらいのつもりで時間を聞いて、「5分」と言われるのが不調時のパターン。
今回はその逆。ほしのが思っているほど時間はたっていない。
「2分09」
それを聞いて、小さくうなずくほしの。
私は、もう一度言った。「2分09」
そして開始10分で、麺完食。残りはスープ。
今まで、だいたい麺とスープにかける時間は1:2で計算してきた。
ということは、のこり20分、スープ完飲、ギリギリ成功か?
という期待が膨らんだが・・・・。

●絶望
 のこりのスープを見ようと、すり鉢をのぞきこんだら、「うわっ」と思った。
ムリですね、こりゃ。
あとでほしのにきいたところ、「麺を食べきった時点でムリだと思った」とのこと。
「15分、折り返し」とコールすると、
「もう時間は言わなくていい・・・」とほしの。
「正直、負け考えてる」
私自身も同感だった。大食いを見たことのない人ならあと少しにも見えるのだろうが、
試合を見慣れてくると、この時点でこの量のスープでは・・・、ということがわかってしまう。
ほしのには、「ああ、好きなようにやれ、いまの自分の力の確認だ」とだけ伝える。
しかし、ほしのは手を休めない。
ほとんど飲んではいないが、小刻みにスープを口に運ぶ。
そして18分、ほしのの頬が一瞬膨らんだ。
スープを入れたときに、軽くリバースがかかったのがわかった。
もう勝つのはムリだろう。かなりの量のスープがまだのこっている。
どのくらいの量を残してしまったか、今後のためにちゃんと覚えておこう、という考えがよぎる。
20分経過時点でタオル投入か、という気分になってきた。

●逆転
 勝てる気のしない重いムードの中、スープを口に運ぶことだけはやめないほしの。
そして、ある瞬間からしなやかなスピードでスープを口に運んでいき・・。
22分07秒、完食。

・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?

敗北を受け入れる気分になった2分後に、勝ってしまうとは・・・。
私は、何が起こったのか分からなかった。

ほしのによると、「楽になる瞬間がある」と。
残り3分になったからスパートするのではなく、自分の身体感覚から、
「今だ、このスパートの時期を逃したら食べられなくなる」という瞬間が
多少分かるようになったらしい。
スリリングな展開ながらほしのの成長を感じさせる印象深い一戦だった。



まえのチャレンジ
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